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富山在住のプログラマー。
フルリモートで働いています。

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「大抵の場合、鶴の一声というのは現場の士気を殺ぐものだが、ごく稀には逆に作用することがある。見物しておいて損はないぞ」

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きっと、自由のために傷つくものこそが、本物のニュータイプなのだから

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「もう頭がおかしくなりそうで、まともに考えるともう耐えられない。つらいですね。人の憎しみの戦争で亡くなるって納得できないですよ。どんな死だって納得はできないけど、やらなくてもいいことじゃないですか、戦争って。来る地震は止められないし襲ってくる津波も止められないけど、戦争は止められるじゃないですか」

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古い、新しい、そんなの鼻くそでしょ。だって先生が描くのは百年先の江戸ですよ。

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「一作目を書いた時、〝世之介が死んでしまうって分かっているから、なんでもない学生生活がキラキラして見えた〟という感想を多くいただきましたし、僕もそう思っていたんです。でも、この年齢になると、世之介が死ぬのが特別なのではなく、みんな死ぬわけだよな、と思うようになりました。みんな死ぬ前のキラキラした日々を過ごしている。そこにたどり着けたのは作家として大きかった。これからは自分も、誰のどの作品を読んでも、〝ああ、この人はいつか死ぬんだな〟と思いながら読むだろうし、そうすると見え方が違ってくる。すごく当たり前のことに改めて気づかされました」

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世之介はカメラを取り出すと、歩いていく隼人の姿をフィルムに収めた。この希望に満ちた背中を、桜子や親父さんにも見せてやろうと思う。そしていつの日か、この土手から同じように歩いていくだろう亮太にも。

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みんなはさ、あいつと一緒にいると、居心地悪くなるって、何をどうしていいか分からなくなるってよく言ってたけどさ。あいつは意思表示するのに時間がかかるだけなんだよ。普通だったら、『そう』って頷いたり、『違う』って首振ったりするだけで済むことを、あいつがやろうとすると、とにかく時間かかるだろ。でもさ、一秒で済む返事に、一分かかるってだけのことなんだよ。だから、あいつの時間に合わせてやれば、なんてことなかったよ。ほんとになんてことなかった

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床に置かれた父親のバッグにふと目がいった。もう何年も前に買った合皮製の小さな旅行バッグで、一度も使っていなかったらしい。今回、せっかくだからと、持ってきたのだが、安物だったのと経年劣化で、持っているだけで恥ずかしいほどボロボロと皮が剥がれ始めたらしい。洋服には付くし、機内では頭上の棚から下ろすときも舞い散ったという。  そんな話をするために、父親は息子に会いにきたのではない。ただ、なぜかそんな話を聞きながら、息子が救急車で運ばれたと聞いてその翌日には駆けつけてくれた父親の、いろんな思いがはっきりと伝わってくるのである。

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傘も役に立たないような大雨の日に、まだ赤ん坊だった亮太を抱いて、池袋のキャバクラの面接に向かう自分に教えてあげたい。誰にも頼れなくて、誰にも泣き言を言えなくて、ただ亮太を抱きしめていた自分に教えてあげたい。  大丈夫だからって。あなたたちは大丈夫だからって。だって、こんな大勢の人たちが応援してくれるんだからって。

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「……いいか、亮太。弱い人間っていうのは、弱い人からおもちゃを取ろうとする人のことだぞ。逆に、強い人間っていうのは、弱い人に自分のおもちゃを貸してあげられる人のこと。分かるか?」  本当に分かっているのかどうか、腕の中で亮太は頷いている。 「……強い人間っていうのはな、あんまりいないんだぞ。本当に少ないんだぞ。でも、おまえのお母さんはな、亮太のことをそんな人間にしたいんだよ。分かるか?」 「……うん」 「じゃあ、なんでお母さんはそう思ってると思う?」  腕の中で亮太が首を横に振る。 「亮太には見込みがあるからだよ。たくさん子供がいる中で、本当にちょっとしかなれない強い人間に、おまえならなれるかもしれないって思ってるからだよ。分かるか?」

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主要な登場人物が、みな人生を刻んで来たリアリティを持つこと。バカさわぎは、つらいことを抱えているからだし、単純さは一皮むけて手に入れたものなのだ。どの人物も大切にしなければならない。そのバカさを愛すべし

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2025年5月10日土曜日 13:10
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仮面ASD者は家庭内虐待のリスクが高い。その理由の一端に挙げられるのが、少々騙されやすい、あるいは他人をあまりにも信じやすい私たちの性質である。そして私たちは他人をなだめるために、すぐに自分を変えてしまう。仮面にとらわれているときの私たちは、すべての愛が条件付きの愛に感じられる。どんな要求なら声に出しても許されるか、なかなか理解できない。他人同士の間に緊張が生じたときも、ついつい仲裁者や調停者としての責任を感じてしまう。私たちにとって、争いはとても危険なものになりうるからだ。

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ASD者の約半数にアレキシサイミア(失感情症)があり、感情の認識と言語化の困難を抱えている。アレキシサイミアのあるASD者は、自分が苦しんでいるのは漠然と認識していても、嫉妬や恨みといった具体的な感情に落とし込むことができないことがある。その感情を抱くに至った理由を理解するのにも苦労する。

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ASD者でない人に比べ、ASD者は自分自身や自分の体をコントロールできていないと感じているのである。長らく無能さや幼さを矯正され続けたことが自己概念に影響を及ぼし、自己弁護や自己主張といった基本的なスキルを身につけるのが難しくなっているのだ。

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「記事を読んで思ったのは、その子が自分を死の間際まで追い込んだことで、家族は彼女を失うのではないかと恐れていたってこと。おかげで彼女には、愛と支援があふれていた。そして彼女は何も達成する必要はなかった。だって、今にも死にそうなんだから」

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定型発達者の脳は、感覚に順応し、次第に慣れていく。音、匂い、手触り、視覚的な刺激に長く接するうちに、定型発達の脳はそれらを無視することを学び、気を取られなくなる。定型発達者の神経細胞は、刺波のそばに長くいればいるほど、その刺激によって活性化されにくくなる。 ASD者の脳は正反対だ。ある刺激に長く接すれば接するほど、その刺数に悩まされることになる。すでに述べたように、私たちの神経細胞は「過興奮性」でもある。つまり私たちの感覚は、見の毛が顔にかかったり、机の上に山積みの郵便物が放置されたりといった、定型発達者が気づまるしないような小さな感覚入力に、たやすく反応してしまうのだ。

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私は障害者であることがバレかねない自分の言動すべてを隠すことに、過剰な努力を注いだ。「キモい」「幼い」と思われるのを恐れ、熱意や強い感情を表に出すのを避けた。オオコウモリやゲームに夢中であることも口にしなかった。人前に出るときはヘッドホンとサングラスをかけ、誰の顔も見ないようにした。知力で教師たちを感心させ、ディベートでトロフィーを獲得し、成績優秀者対象の奨学金を得た。そうやってがんばるほどに、自分は他の人より優れていて、孤独なのは知性が高すぎるせいだという意識に拍車がかかった。

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ガールスカウトのリーダーには、膝を胸に押し当てて座っていたせいで、隊員みんなの前で何年間もバカにされ続けた。怪物の「ガーゴイル」のような姿勢で丸まって座ると、体に圧力がかかって落ち着くのだ(ASD者の多くはこの座り方を好む)。だがリーダーはそれがとても癇に障ったようで、私がその座り方をするたびに隊員全員の前で叱りつけた

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「自分があまりにズレすぎていることをごまかすために、マンガみたいにべタなおバカ女子キャラを演じる必要があった。人としてはダメでも、女の子としてアリな子にはなれるでしょう。数学ができなくても、人付き合いがトンチンカンでも、女の子らしいってことで済まされる。あの子は天然だなあ、って」

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私はASDとしてのアイデンティティを横索していた頃、ASDのクリエイターや活動家の動画をチェックした。彼らは、ASD者の性格や興味の対象がいかに多様であるかを教えてくれた。そうした言葉に触れるにつれ、ASD が呪いのように感じられなくなった。自分のアイデンティティを恥じる気持ちが薄れ始め、代わりに本当の自分に対する誇りが少しずつ芽生えていった

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